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研究助成プログラムの拡充を説明する稲盛財団の中西重忠会長(右)と金沢しのぶ理事長=20日、京都市下京区、桜井林太郎撮影

 稲盛財団(京都市、金沢しのぶ理事長)は20日、若手研究者らへの支援を強化するため、研究助成プログラムを拡充し、新たに「はぐくむ」と「たかめる」の二つのコースを立ち上げたと発表した。助成開始は2026年度からで、今年3月に公募説明会が開かれる。

 同財団の研究助成プログラムは1985年度から始まり、1人あたり100万円を年50件支援してきた。20年度からは、1人あたりに10年間で計1億円の「稲盛科学研究機構フェローシッププログラム」(年2件)も助成している。

 「はぐくむ」は、独創的なアイデアに基づいた先駆的な研究を育てたいと、年50件の助成額を倍増して200万円(2年間)とする。対象の研究者は、自然科学分野が40歳以下(年40件)と人文・社会科学分野が50歳以下(年10件)。

 新たにできる「たかめる」はこれまでの研究成果をいっそう発展してもらうねらいで年10件とし、1件あたり1千万円(3年間)を助成する。対象は自然科学が45歳以下(年8件)、人文・社会科学が55歳以下(年2件)とする。

 今回の拡充で、稲盛科学研究機構フェローシッププログラムも合わせて、助成総額は年計4億円となる。

 同財団の中西重忠会長(京都大名誉教授)は会見で「実感として日本の基礎研究が少し弱体化しているとおそれている。知的好奇心に基づいて知的な生産を楽しむことこそが基礎的な研究の根本。今回の新しい研究助成事業は、できるだけ束縛のない形で研究資金を提供することで、独創的で将来性のある研究活動を自由に行っていただくためにスタートする」と話した。

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